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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第14章 第2部 Ⅳ



「誰か、いるのか?」
 ファリア神父が、不思議そうに問いかけてくる。こうなってしまえば仕方がない。私は、ばつが悪いながらも、ファリア神父の独房前に移動する。そこには、白っいく簡素な衣服を身に纏った、老人の姿があった。
「これはこれは、可愛らしいお嬢さん。初めまして。」
 そう言いながら、白髪のファリア神父は、やはり陽だまりのようなあたたかさの笑顔と声で、私へと手を差し出してきた。私は迷わず、その手を取った。ゴツゴツとした、痩せて骨ばった手。この手が、エドモン・ダンテスを導き続けた手なのか―――――そう思うと、胸がいっぱいになった。
「はじめ、まして。ファリア神父さん……。」
「あぁ、この娘が……。」
 そう言いかけて、ファリア神父は口を閉ざした。
「?」
「……いや、主よ。お会いできたこと、感謝いたします。さて、エドモン、お嬢さん。ワタシとしても名残惜しいがそろそろ時間だ。これ以上は止(よ)しなさい。」
「でも……!」
 このまま歴史通りに進めば、ファリア神父はこのシャトー・ディフで、その命を終えてしまう。ファリア神父は、本当にそれで良いのか? このまま、外の空気を吸うことも無く、亡くなってしまう。それは、あんまりな最期ではないのだろうか?

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