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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第13章 第2部 Ⅲ



『最大火力……!! 喰らえ!!
 吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)!!!!』

 細剣が穿たれた箇所を起点として、煉獄の業火が燃え盛る。その炎は、ジャンヌが魔力を込めれば込めるほどに、勢いを増す。同時に、魔物の足元からは、魔力で生成された槍が発生し、そのままその体を貫く。

「―――――――!!!!!!!」
 轟く、魔物の咆哮。そのあまりの音量に、耳が潰れそうだった。

 エドモンに抱え上げられた私が見たものは、炎に包まれている魔物が、その剣と槍などは意にも介さないかのように後ろを振り返り、その凶悪な爪を振り下ろしているところだった。私は、自分の心臓が止まったかのような錯覚を覚えた。

「――――ジャンヌ!!!!」

 爪は、容赦なくジャンヌへと叩き下ろされた。ジャンヌの上半身は、服が引き裂かれ、鎧は砕かれ、大量の血に濡れている。あれでは、天草の治癒魔術でも治せないだろう。
「ぐ……ッ!」
 ジャンヌが、苦悶の声を上げる。残る令呪はあと1画。令呪による霊基修復であれば、もしかしたらジャンヌを救えるかもしれない。
「マスター……! もう、ちょ、っと……、で、……! コイツ、殺せ、る、から……!」
 ジャンヌは、色素の薄い、美しい髪から自身の血を滴らせながらも、魔物を睨み付けている。
―――――ダメだ。今から宝具開放用に魔力を装填しても、その霊基(カラダ)では、自分の宝具にすら耐えられないだろう。でも、ここで押し切らないと、魔物はせっかくジャンヌが与えたダメージさえも、回復させてしまうかもしれない。
「は、やく……!」
 ジャンヌは、必死の形相で私へと決断を迫る。私は、どうすれば……!?
「マスター、急げ! アレを仕留めるには、今しかない!」
 エドモンに促されるが、この状態でジャンヌへ宝具開放の命令をしたところで、ジャンヌが宝具を展開するよりも先に、間違いなく彼女が崩壊する。
「マスター、選べ! 俺を信じるか、この好機を棒に振るかを……!」
「……ッ……!」
 エドモンにそう言われ、私は息を呑む。そうだ。そうだった。私は何を迷っていたのか。
 私が信じるのは、いつだって私に力を貸し続けてくれるみんなと、最愛の共犯者(エドモン・ダンテス)じゃないか――――――!

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