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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第13章 第2部 Ⅲ



「フン、ここなら、何の心配もなく最大火力が出せるわね?」
 ジャンヌが、先程とは打って変わって、不敵に笑った。いや、外とはいえ、近くにはシャトー・ディフがあるのだ。あまり派手に炎を出されても困るのだが。

「では、私は補助に回りましょう。―――――“告げる”(セット)。」
 天草の声と同時に、空中に複数の黒鍵が展開される。数にして、20はあるだろうか。空中にとどまっている黒鍵は、それだけでも威圧感を醸し出していた。あれが、天草の意志ひとつで、次々に放たれるのだ。加えて、天草の手にも、同じものが3本、握られ構えられている。

 天草の詠唱に合わせて、一気に5本の黒鍵が、魔物を襲う。しかし、魔物はその黒鍵を全て弾いた。黒鍵は弾かれても、再び対象を狙うのだが、何度やっても弾かれる。
「おや、黒鍵は浄化の力を持つのですが……。少し弱らせてからじゃないと、効果が薄いのかもしれませんね。」
 そう言って、天草は黒鍵を日本刀に持ち替えた。
 空中からの黒鍵投擲で、一瞬だけ相手の動きを止め、その隙に天草本人が魔物の背後へと回り込み、一太刀を浴びせる。単純な戦法だが、堅実だ。しかし相手は堅く、なかなか有効打までは与えられない。そのうちに魔物は、わずかな隙をついて、その腕を勢いよく振り回した。天草は弾き飛ばされる瞬間、黒鍵の刃を巨大化させて衝撃を和らげたが、その刃ごと砕かれ、彼の肢体は宙へ投げ出された。
「天草!」
「大丈夫です。ちゃんと防ぎましたから……!」
 天草は口ではそう言っているが、その左腕からは血が滴っていた。
「でも、腕……!」
「こんなもの、怪我の内にも入りませんよ。」
 そう言って、右手を傷口に当て、瞬時に傷を回復してみせた。ほっと胸をなでおろすのも束の間、魔物は変わることなく暴れ続けている。それどころか、天草がつけた傷も、みるみるうちに消えていく。どうやらこの魔物には、自己回復機能まで備わっているらしい。これは、厄介だ。

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