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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第13章 第2部 Ⅲ



「天草は、中距離からジャンヌのフォローを!」
「はい!」
「アヴェンジャー、宝具開放、いけるね?」
「―――――当然だ!」
 令呪の1画を消費して、エドモンへと魔力を装填する。同時に、礼装に付与されている魔術式をひとつ、起動させる。その効果は、『反応強化』。技の緻密度と、基礎速度を上昇させる術式だ。エドモンが少しでもコントロールを外せば、此処より下の階にも損害が出る。それだけは、何としても避けなければならない。

「3階部分と屋根だけを吹き飛ばして! 下への被害は出さないように!」
 アヴェンジャーは、瞬時に宝具を開放する。


『――――――虎よ、煌々と燃え盛れ(アンフェル・シャトー・ディフ)!』

 刹那、3階部分と屋根が、アヴェンジャーの宝具によって吹き飛ばされる。瓦礫が宙を舞い、視界全てが埋め尽くされる。その暴風の中、私は立っていることすら出来ずに、頭を両腕で庇いながらその場へ座り込む。

「マスター、こちらに! 屋外へ着地します!」
 天草は、私の腕を強く引いて、そのまま抱き上げた。
 ふわりとした浮遊感の後、落下する。この感覚は何度も経験しているはずなのに、いつまで経っても慣れない。
「立てますね、マスター?」
 天草は、地面へと私を下ろしてくれた。

「―――――はぁッ!!」
 ジャンヌの声が聞こえると同時に、魔物が爆風によって吹き飛ばされ、屋外の地面へと投げ出された。
「流石、アヴェンジャー……!」
 宝具の制御は、見事だった。3階の床は破壊せずに、そっくり壁から上だけが破壊されていた。広範囲に影響を及ぼす宝具を、これほどまでに精緻に扱えるのは、やはり彼の技量なのだろう。
 エドモンとジャンヌも、魔物が落下すると同時に、地面へと軽やかに着地した。魔物は、背中からドスンという鈍い音を立てながら落ちたが、すぐに立ち上がった。恐ろしいことに、今の落下ですら、魔物にはほとんどダメージが通っていないらしい。

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