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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第13章 第2部 Ⅲ



「――――ヒッ!!!???」
 広い室内には、40代ぐらいに思しい、中年の男性がいた。男性はいかにも神父のような出で立ちで、カソックを身に纏っていた。やはり、予想通りだった。男性は、突然の来訪に、驚きを隠せない様子だった。しかし、その驚きもすぐにおさまったのか、今度は堂々と立ち、私たちを見据えた。
「―――――ほう。誰かが入って来ているのは分かっていたが……。よもや、サーヴァントであろうとは。あ、いや、そこのお嬢さんだけは、人間か。所属は、魔術協会かね? まぁいい。全く……。やはり、あの程度の下級悪魔では、サーヴァントの相手は務まらないものか。時間稼ぎが関の山だな。ハハッ。」
 男性は、酷薄そうに笑った。分かってはいたが、この男は異様だ。それでも、私は言葉を投げかける。私には、優秀なサーヴァントが3人もいてくれている。私が言葉を交わすその間は、3人は何があっても私を護ってくれると確信している。だから、臆さずに口を開くことができる。
「あなたが獄長さん、ですね? ファリア神父の財宝の在り処を突き止めるために、囚人たちにあんなに酷いことをして……! そんなにしてまで、財宝が欲しいんですか!?」
 思うままを、口にした。エドモンは、私の前に立っているので、その表情を窺うことはできないけれど、間違いなく怒っている。それでも、私が対話を望むから、その怒りを抑えてくれているのだろう。

「ん? あぁ、知っていたのか。流石、こんな場所をゴソゴソと嗅ぎまわっているだけはある。だが、僕が欲しいのは、あくまでもその財宝がどこにあるのかというだけだよ。あんな薄汚い老人の宝に、何の興味も無い。僕が欲しいのは、あくまでもその報酬でね。」
「貴様……!」
 エドモンの黒炎が、揺らめく。私は、反射的にエドモンの外套の裾を掴む。
「分かっている。」
 エドモンは、冷静に返事をしたが、すぐにでもこの男性を殺したくて仕方がないといった様子だ。
「ほう。お嬢さんはマスターか。そうそう、犬のリードは、しっかりと握っておいてくれたまえ。僕は“こんなところ”で死にたくないからね。」
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