第12章 第2部 Ⅱ
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エドモンとジャンヌに、部屋へ入ってもらい、天草とダ・ヴィンチちゃん、そして私で、先程得た情報を2人へ話した。話している最中にも、エドモンの顔がどんどん険しくなっていく。すべてを話し終える頃には、いつもはそれほど目立たない黒炎が、エドモンを覆うようにして燃え盛っていた。
「――――やはり! やはりか!! あの尊いお方を、またも血で汚す真似を……!!」
エドモンは、珍しいほどに荒ぶっている。普段よりも数オクターブは声が低くなり、彼の周囲には、彼が抑え切れなかったのであろう魔力が、火花となって弾け飛ぶ。
「ちょっと、アヴェンジャー……!?」
「これで憤怒せずして、何に怒り狂おうか!!? おのれ……ッ! この巌窟王の逆鱗に触れて、ただで済むと思うな……ッ!!!」
「ちょ……! 危ないわよ! っていうか、アンタは、その看守の“上”が何者か、分かるワケ……?」
ジャンヌは、エドモンの炎を手で払いながら、そう問うた。確かに、今の話からでは、“上”が何者なのかまでは分からない。
「フン。俺は既に、知っているとも。」
黒炎の勢いが、少し弱まった。
「この俺が間違えるはずもない。その組織こそ、世界最大の宗教の裏組織――――――聖堂教会だ。」
「―――――成る程。」
エドモンが断言すると同時に、天草はそう零した。
「聖堂教会は、あの尊き神父を、何の罪もないあのお方を! 自分たちに不都合な存在であるという理由だけで、この“地獄”へと堕としたのだ!! 全ての人間の幸福をこそ切に望んだ、あの信心深い聖者をだ!! そして、あの聡明なるお方の宝を組織の手中に収めるべく、様々な陰謀を企てては、それらを実行に移した!!!! 嗚呼!! それを怒らずしておれるものか!!!!」
エドモンの咆哮に合わせて、黒炎が再び煌々と燃え盛る。