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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第12章 第2部 Ⅱ



「いいえ。まだです。」
 天草が、ピシャリと言い切った。
『うん。外には2人以外の反応が無い。こんな機会はもう巡って来ないだろう。もう少し、話を聞いてみることをお勧めするよ。とは言え、もう大体の筋書きは見えたがね。』
 ダ・ヴィンチちゃんも、通信越しにこちらの話を聞いて、色々と考えてくれているらしい。

「貴方の言う、“上”とは、何者ですか? どこかの組織へ所属しているのですか? それに、そのご老人とは?」
 天草が、矢継ぎ早に質問を繰り出す。
「俺も、ただの雇われだから、組織の名前までは……。でも、ジジイの名前は知ってる! 此処の地下独房にいる、ファリアっていう、病気持ちだよ!」
「……成る程。」
 天草は、看守の姿を視界に収めた後、ゆっくりと相槌を打った。
「ひどい……。」
 そんな事の為に、無抵抗の囚人を痛めつけていたのか。その身勝手さに、私は再び怒りを覚えた。でも、ここでこの看守に腹を立てていても仕方がない。この看守は、“上”がいると言ったのだ。その“上”を突き止めない限り、この惨劇は繰り返される。

「さて、質問は以上なのですが、我々の事を、他の者においそれと喋られては困ります。」
 天草は、黒鍵を構えて、看守へと近づいた。まさか、ここで看守を殺す気だろうか……!?
「ぁ……! あ、ぁ……!?」
 看守は、いよいよ椅子から滑り落ちた。
「殺しはしません。ただの契約です。」
 そう言って、天草は黒鍵で看守の腕を軽く斬りつけ、血を流させた。
「ぅ、ああ……?!」
 そして、何やら2、3節の詠唱を口にした。
「えぇ、簡単なギアスですよ。我々の事を喋らない以上、効果は発動しません。喋った場合は、貴方が2度と目を覚まさなくなるだけです。傷自体は深いものではありませんので、マルセイユに戻って医者にでも診てもらいなさい。」
 天草は、立て板に水の如く喋った。看守は、恐怖のあまり上手く動かない体で、這うようにして部屋を出た。天草は、自身の言葉通り、その看守が逃げるのを追うことはなかった。

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