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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第12章 第2部 Ⅱ



「看守さん。何で、あんな酷いことを……?」
 私が質問を投げかけると、看守は縋るような目で私を見て、口を開き始めた。もはやこの男性看守は、天草に怖気づいている。それならば、私が割って入るしかない。本当は、私だって、怒りに身を任せて叫びたい気持ちだが、それでは「調査」任務の意味がなくなる。だから、ここはぐっと堪えて、質問を繰り出した。
「それは……、その……。“上”に言われて、囚人に、知っていることを、……。吐かせるように、って……。」
 おそるおそる、といった感じで、看守が口にした。
「知っていること、とは?」
 天草が、すかさず追質問を入れる。この辺りの抜け目のなさも、恐ろしいところだ。
「“秘宝”の、在り処、だよ……。」
 囚人は、一言ずつを噛みしめるようにして、言葉にした。
「「“秘宝”……?」」
 図らずしも、天草と私の声が重なってしまった。何というか、あまりにもファンタジーじみたその回答に、問い返さずにはいられなかったのだ。
「く、詳しいことは、俺もそんなには、知らねェよ……。ただ、囚人の中に、 “秘宝”の具体的な在り処を知っている奴が、いるかも、ってだけ……。“上”から、吐かせろ、って……! っほ、本当だって! あのジジイ、無駄に口が堅いし……!!」
 看守は、必死の形相だ。
 それは、モンテ・クリスト島にあったとされる、財宝の事だろうか? ファリア神父が保有していたとされるあらゆる財宝は、そのすべてがモンテ・クリスト島に隠されていたとされている。脱獄したエドモン・ダンテスは、やがてその島へ赴き、莫大な富をその手に収めたという。この看守は、その財宝の在り処を探すように命令されている、といったところだろうか?
「それに、吐かせたら、多額の報酬が貰えるって……。 も、もういい、だろ……?」
 看守は、今にも泣きだしそうな目で、私を見た。

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