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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第2章 契り



 そうだ。もし、アヴェンジャーの推測が正しいものとすれば、状況は次々と悪化していくはずなんだ。このままじっとしていたところで、微弱なパスが辛うじて繋がっているだけのアヴェンジャーの魔力も底をつく。アヴェンジャーに魔力回復スキルが付いていようと、マスターやカルデアからの魔力供給が無ければ、どうしようもない。結果として、私の命綱にも等しいサーヴァントは、魔力切れで消滅するしかなくなる。そうなれば、私は間違いなく死ぬ。そうだ。マスターである自分が、しっかりしなくては。今までだって、どんなピンチな状況だろうと、サーヴァントや、現地の人たちと協力し合って、乗り越えてきたじゃないか。そう思い直し、右手に宿った令呪を見た。
「な、な、なに、これ――――――?」
 見れば、令呪が薄くなっているではないか。見間違いだとか、そういうレベルの話じゃない。私の令呪が―――――マスターの証である、令呪が、消えかかってる――――――?
「ど、どういう、こと……?」
 混乱が止まらない。取り乱してしまう私を、抑えられない。

「連れてきたサーヴァントとの繋がりも無く、目の前にいる俺とすら、微弱なパスが通っているに過ぎぬこの状況では、何も不思議からぬことだろう。」
「―――――っ……!」
 自分の顔から、いや、全身から血の気が引いていくのが分かった。視界も、涙で霞んできた。
 今まで、困難な状況はたくさん、それこそ山のようにあった。でも、その度に、多くのサーヴァントに力を貸してもらっていた。だからこそ、ここまで生き残ってこられたのだ。それは、自分が、他でもない“マスター”という存在であるから、というのが大前提だった。
 でも、今はその、“マスター”である証が、消えゆこうとしているのだ。これで、動揺しないではいられない。私は、この私だけでは、どうしようもなく無力だ。魔術師としての腕前は、お世辞にも上位クラスとは言えない。魔術についての知識だって、未だ貧相なものだ。どうしたら、いいの? もう、どうしようも、ない、の……?


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