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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第12章 第2部 Ⅱ


「……殺さない。」
 完全に気絶してしまっているようなので、話を聞くことも出来ない。だから私は、それだけを答えた。
「承知した。」
 エドモンも、それ以上は言わなかった。
「でも、起きて騒がれても迷惑だし、独房の外へ出すわけにもいかない。喋れないように、ついでに身動きも取れないよう、縛っておきましょうか。」
 ジャンヌは、そう言って看守を縛り上げた。
「……応急手当だけは、完了しましたが……。」
 天草は、沈鬱な表情で、こちらへ視線を送ってきた。治癒魔術では、肉体面の傷はある程度治せても、心の傷までは癒しきれない。あれほどのショックを受けてしまっては、助かるかどうかは分からない、ということだろう。
「ううん。ありがとう、天草。」
「それにしても、なぜここまで、囚人たちに酷い仕打ちをするのか……。」
 天草の瞳には、静かな怒りが宿っていた。
「……。」
 エドモンも、押し黙ったままだ。エドモンは、14年間もこんな場所にいたのだ。他にも思うところがあるのかもしれない。

 そんなことを考えていると、ダ・ヴィンチちゃんからの通信が入った。
『戦闘が終わったようだね。近くに、1階で戦闘したものと同じ魔物の反応がある。解析の結果、やはり先程キミたちが戦闘した相手は、デーモンの類だ。下級悪魔だね。それが何故、このような場所にいるのかは分からないけれど、流石に自然発生したとは考えにくい。行動に、一定の統率が取れていたことからも、誰かが持ち込んだか召喚して、制御している可能性が高い。巌窟王、何か心当たりは無いかな?』
「……。」
 エドモンは、ダ・ヴィンチちゃんの問いかけにも、黙ったままだ。
『まぁいい。恐らく、今回の異変にも関係している可能性が高い。出来れば、この階で周辺を探索して……』
「あ゛あ゛ア゛ア――――――――ッ、ア゛ア゛!!!!」
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