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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第11章 第2部 Ⅰ



「放っておけない。」
 その言葉が、突入の合図だった。ジャンヌが、音もなく、素早く鉄製の扉を開けて、室内へと突入する。鍵が掛かっていたようだが、サーヴァントを前にして、およそ物理的な施錠など何の守りにもなりはしない。
「そこの看守、アンタよ。静かにしていれば、酷くはしないわ。」
 ジャンヌは声を抑えめにして、それでも、細剣の先を看守たちに向けている。看守たちが突然の事に驚いている間に、私と天草が、倒れている男性に駆け寄る。大丈夫、どうやらまだ息はあるらしい。天草は、それだけを確認すると、男性を抱きかかえて後方へ下がった。そして、短い詠唱を口にした。どうやら、簡易の治癒魔術のようだ。流石はキャスター適性のあるルーラー。器用だ。
「だ、誰だ、お前たちは……!? どうやって、ここへ……?!」
 看守の男のうちひとりは、慌てながらそう口にした。それはそうだろう。サーヴァント3人が、突然押しかけてきているのだから。しかし、同じく看守であろう残る2人は、その場にぼーっと立っている。一言だって言葉を発さない。明らかに現実感の薄い反応だ。もしかして、この2人が、天草がさっき言っていた“人間以外のモノ”なのだろうか?
「お前ら、行け……!」
 看守の男が、上擦った声で、残りの2人に命じる。
「フン。」
 ジャンヌが軽く鼻を鳴らし、男たちの足元へ炎を走らせた。
 その瞬間、今の今まで看守の姿をとっていた2人は、異形のモノと為った。いや、本来の姿に戻ったのか。デーモンのような、禍々しい姿をした魔物が、その鋭い爪と牙を剥き出しにしている。

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