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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第11章 第2部 Ⅰ


「ようこそ、ここがシャトー・ディフだ。」
 低く、重く。私たちにしか聞こえない声で、エドモンが呟く。その貌(カオ)には、いかなる表情も乗ってはいなかった。
「ここが、シャトー・ディフ……。」
 夢の中で、あの監獄塔を訪れた時とは、随分と印象が違う。「濃い」印象を受ける。やはり人間は、肉体を通じて、周囲の世界をより深く感じるらしい。
『侵入成功だね。滑り出しは上々じゃないか。さて、建物を出来る限りスキャンしてみたから、その結果を報告するよ。まず、この建物は、全部で3階建てだ。それに、地下だ。1階から3階まで、それぞれ強力な魔力反応があるね。ただ、地下をスキャンしようとしても、何かに阻まれてしまう。恐らく、結界か何か、そういったものが張られていて、こちらのスキャンを阻害している可能性が高い。小型ドローンの侵入も、見事に拒まれてしまった。物理的にも、魔術的にも、簡単には干渉できない可能性が高い。そこで、取り敢えずは、1階から順番に調査していくことをお勧めしたい。』
 今、無理に地下へ行こうとしても、入れない可能性が高いし、何らかの罠が仕掛けてある可能性だってある。途中で見つかってしまうリスクを考慮しても、ここは慎重に進んでいった方がいい。私は、3人のサーヴァントに、目線だけで合図をする。3人とも、無言で頷いてくれた。
「了解です。」
「案内役は、俺が引き受けよう。」
「アタシは後ろでいいわ。殿(しんがり)ってヤツよ。」
「それでは、私はマスターの横に。護衛も兼ねさせてもらいましょう。」
 私の前にエドモン、後ろにジャンヌ、横には天草という並び方になった。
 見つからないように、そして物音を立てぬように細心の注意を払いながら、薄暗い廊下を進んでいく。今のところ、看守らしい人間には、ひとりも出遭っていない。脱出不可能と言われたシャトー・ディフに、見張りの人間がひとりもいないというのは、あり得ない話だと思うが、そればかりを考えていても仕方がない。


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