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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第2章 契り



 それに、この冬木市は、人理修復が始まったとはいえ、まだまだ特異点の様相が色濃く残っている。で、あるのならば、当然、“残骸”も残って――――――、刹那、背中に殺気を感じた。魔術師としては半人前でも、マスターとして、私は幾つもの死線を潜り抜けてきた。この程度、姿が見えずとも勘で分かる。
「……いるな。合図をしたら、俺の後方へ下がれ。」
 低く囁くようなアヴェンジャーの声に私は無言で頷く。

「3、2、1――――動け!」
 アヴェンジャーの声に合わせて、地面を蹴る。直前まで私が立っていた場所には、矢が突き立っていた。それには構わず、矢が飛んできた方向を目視で確認する。骸骨のような怪物が2体、こちらに狙いを定めている。今のところ、あいつら以外に敵はいないようだ。
「いけるね、アヴェンジャー!」
「同然だ!」
 そう言ったアヴェンジャーの声には、喜色が載っていた。アヴェンジャーが敵を視認すると同時に、彼の黒炎が敵を焼き払っていた。時間にして、わずか2秒程度。たったそれだけの時間に、弓矢の怪物は灰燼(かいじん)となり果てていた。情け容赦のない毒炎の猛攻。これでも、アヴェンジャーにしてみれば、ほんの準備運動にもなっていないぐらいだろう。相変わらず、アヴェンジャーの攻撃は“凄まじい”の一言に尽きる。
「……フン。」
 灰になった怪物の残骸には一瞥もくれず、アヴェンジャーはこちらへ向き直った。
「ありがとう。えっと……。」
「礼には及ばん。それよりもだ。此処から移動せねば、碌に話も出来ん。」
「……、確かにそうだね。取り敢えず、あの建物に行こう。このままじゃ、私が格好の的になる。」




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