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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第2章 契り



「――――――ッ……。取り敢えず一旦、帰還しよう。他のサーヴァントたちの安否も気になるし……。」
 そうだ。カルデアに戻って、立て直しを図ろう。計測器を設置することは、そこまでの急務ではない。それなら、まずはカルデアに戻って、この異変を報告しないと。
「マスター。俺も先程から帰還ポイントを探ってはいるが、それらしい反応が全く見当たらない。」
「……。」
 私も、帰還ポイントを探してみるが、それらしいものなど全く見当たらない。気配すら無い。

 どうしよう。カルデアとの通信はできない、サーヴァントとははぐれたどころか消息不明、帰還ポイントも無い。おまけに、以前設置したサークルも、機能していない可能性が高い。
「どう、しよう……。」
「マスター。」
 アヴェンジャーの顔に、翳が差している。
 そうだ。目の前のアヴェンジャーとの契約は、どうなっているのだろう。再び、魔術回路に集中する。

「――――ッ!?」
 繋がりは、感じられた。でも、とんでもなく微弱な、今にも立ち消えそうなパスが、辛うじて繋がっているといった感じだった。そんなハズはない、のに……!

 アヴェンジャーとは色々あったけど、契約してからは確かに、マスターとサーヴァントとして、繋がっていて、それが、私は何よりも、嬉しくて……。いや、違う。今は、もっと他に考えなければならないことが山ほどある。私は、ぐちゃぐちゃになった自分の感情をぐっと堪えた。

「アヴェンジャー。カルデアからの魔力供給は? どうなってる?」
「途切れている。」
「……。」
 返ってきた端的な返答に、思わず絶句した。決定的とも言える、絶望的な回答だった。ほんの目の前にいるアヴェンジャーとも、微弱なパスが通っているのみで、カルデアからの魔力供給も無い。

 状況を整理すれば整理するほど、今自分がどれほど絶望的な状況なのかが分かってくる。これはもう、紛れもない土俵際だ。


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