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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第11章 第2部 Ⅰ



***

「お待ちしておりましたよ、マスター。」
「あ、来てくれたんだ! ありがとう、天草。」
「勿論。マスターの頼みとあれば、喜んで。」
 そう言って、天草はにっこりと、人のよさそうな笑みを浮かべた。

「うん、なるほどね。ルーラー/天草四郎時貞か。死霊系への戦力としては、確かにこれ以上の適役はいないかもしれないな。それに、アヴェンジャーのクラス弱点を補いうる人選だ。流石はカルデアのマスター、確かな人選だね。」
 ダ・ヴィンチちゃんは、なるほどといった具合に、深く頷いて見せた。
「えぇ。私を選んでくれたこと、感謝します。あまり戦闘向きのサーヴァントではありませんが、対死霊系となれば、マスターの役に立てるかもしれません。最善を尽くします。」
 天草も、私に向き直り、自身の胸に手を当てながら言葉を紡いだ。
 本当は、偶然の思い付き以外の何物でもないのだが、今更、天草本人を目の前にしてそんなことは言い出せまい。こんな風に褒められてしまったことが、少し居心地悪くも感じたけれど、軽く微笑んでおくことにした。

「まぁ、マスターが決めたのならば、私は従います。ええ。」
 ジャンヌは、何か言いたそうだ。
「ですが、今回、残念なことに、聖杯は絡んでいない可能性が高いのですが、それでもいいのですか? アナタからしてみれば、骨折り損では?」
 ジャンヌは、天草に対して冷たく嗤った。
「ちょっと、ジャンヌさん……!」
 マシュが止めようとするが、それ以上の言葉は出てこないようだった。彼は、ルーラーとして召喚されながらも、聖杯を手に入れるという悲願を捨てていないのだ。そしてそれを、天草自身も口に出してしまっているのだから。
「いえ。平和の為、人理修復の為であれば、私はこの身を砕くことすら、厭いません。それが、マスターからの依頼であるのならば、尚更です。」
 天草は、祈るようにして、言葉を紡ぎ出した。彼は、“聖人”には認定されていないらしいが、平和の為ならば自己犠牲すらも厭わないとはっきりと口に出した彼からは、人間とは思えないほどに清らかな雰囲気が漂っていた。口元に浮かぶのは、全てを慈しむような、柔らかな微笑み。その言葉には、絶対に嘘は無い。そう言い切れるだけの真実味があった。
「天草さん……!」
 マシュも、その雰囲気を感じたのか、驚きに目を見開きながら、彼の名前を口にした。
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