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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第11章 第2部 Ⅰ



「……。」
 今回は、あのシャトー・ディフを調査する。もし、エドモンが一緒に行ってくれるなら、それは最高の同行者になり得る。ダ・ヴィンチちゃんは、多少違いがあるみたいなことを言っていたけれど、それでも、案内人として、彼以上の適任者は浮かばない。マスターである私が同行をお願いすれば、きっとエドモンは応じてくれるだろう。しかしそれは、エドモンにとって、辛いのではないだろうか? 言わば、強烈なトラウマの追体験を強制されるようなものだ。マスターとして、というよりは、人間としてのレベルで、それは許されることなのだろうか?

「何処へ行く? お前の部屋は此方ではあるまい?」
「!」
 どうしよう。今1番気まずい相手と出くわした気がする。それより、私はどうやら自室と反対方向へ歩いていたらしい。どれだけ意識がお留守だったのか。
「シャトー・ディフへ調査に行くのだろう?」
「な、なんでそれを……。」
「いや、あのアヴェンジャーが、嬉しそうにしながら、海魔を操るキャスターへ話していたからな。それを聞いただけだ。」
 あぁ、ジャンヌはもう、ジルに話したのか。どうやら、彼女は相当気合いが入っているらしい。
「それで? 他のメンバーは決まっているのか?」
 あぁ、やっぱりその話になるよね。適当に誤魔化そうにも、エドモンに中途半端な誤魔化しは通用しない。というより、この短時間で気の利いた返事なんて浮かばない。
「ううん。それが、ジャンヌ以外は全然。」
「そうか。」
「……。」
 どうしよう。切り出しても良いものであろうか……。でも、エドモンがシャトー・ディフの調査の件を知っている時点で、もう隠すことも出来ない。
「……。もし、もしもだけど。」
「ンン?」
「もしも、私がアヴェンジャーに、一緒に来てって言ったら、アヴェンジャーは、やっぱり、それって、嫌、かな……?」
 だから、正直に話す。それしか道は無かった。しかし、エドモンの答えは、随分とはっきりしていた。
「マスター、俺は“巌窟王”だ。何度も言わせるな。 “エドモン・ダンテス”の名は過去と共に打ち棄てられ、今は復讐の化身として在るのみだ。マスターが望むのならば、そこが地獄であろうとも、共にゆく。」
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