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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第10章 補完&後日談


***

「霊基……、修復……!」
 少女の右手にある右手の令呪が、鈍い光を放つ。令呪ならば、傷ついた霊基であっても、瞬時に戦闘可能レベルまで修復することができる。マスターとサーヴァント双方にとって、正真正銘の切り札だ、

「させるかァ!」
 敵は、しかし少女の右手へ、容赦なくその旗を突き刺した。
 令呪が発動し、魔力がアヴェンジャーへと届くよりも先に、それは潰されてしまった。
「あ、ぎィ――――!?」
 令呪という命綱を断ち切られた。少女はその瞬間、絶望の淵へと追いやられた。しかし、少女の往生際の悪さは一級品だ。令呪が潰されても、まだエドモンと繋がっているパスにまでは手を出せない筈と考え、少女は魂を燃やし尽くす想いで魔力を生成し、パスへと流し込んだ。同時に、礼装にセットされているスキル――――――――『メジェドの眼』、『オシリスの塵』、『イシスの雨』――――――を全て発動させる。見事な悪足掻きだった。



「邪魔だ、死に損ないがァァ!!!」
 敵が、少女の血がべったりとついた旗を、アヴェンジャーへと突き刺す。男は立っているのがやっとで、攻撃を躱(かわ)すだけの力も残っていない。しかし、考えようによっては好都合だ―――――男はそう判断していた。
 旗の穂先は、容赦なく男の脇腹を貫いた。
「ぐ……ッ!」
 男の口から、低い呻き声が漏れる。礼装の効果は、多少はあったのかもしれないが、男は今度こそ致命傷を受けた。しかし、これこそ好機とばかりに、そのまま前へと踏み込んだ。
「クハハハ……! 貰ったぞ……!」
 男の黄金の瞳が燃える。男は左手で自らに突き刺さった旗を握り込み、さらに深く踏み込む。そう、この状況であれば、敵も離れられない。これこそが、男の狙っていた状況なのだ。絶対に敵を離してなるものかという執念が、そこにはあった。男はそのまま、右手の鉤爪で、敵を切り裂いた。更に、黒い炎による追撃を加える。ゼロ距離から放たれる黒い炎から逃れる術もなく、敵はその業火に灼(や)かれた。
「ぐ、あああああああああああああああああ!!!!」
 断末魔の叫びが辺りに響き渡ったが、それもやがて、消えていく。
 男は、大きくふらつきながらも、己がマスターへと歩む。そして、少女の傍らにしゃがみ、顔を近づける。


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