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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第9章 希望


***


「ん……?」
 白い天井。何かの電子音。繋がれた管。

「せ、せんぱい……? 先輩!! 良かった! 目を覚ましたんですね!! 本当に良かった!!!」
 マシュ……?

 マシュだ。マシュは、恐らくは仰向けに寝ている私に、勢いよく抱き付いてきた。
「良かった……! 本当に、良かった……!!」
 マシュは、涙ぐんだ声で、何度もそう繰り返した。ゆっくりと上半身を起こすと、見覚えのある風景。ここは、間違いなくカルデアの医務室だ。

「ダ・ヴィンチちゃん! センパイが目を覚ましましたよ!」
「そのようだね。大丈夫かい?」
 医務室の扉が開いて、ダ・ヴィンチちゃんが入ってくる。
「センパイ、話せますか? 何か異常があれば、遠慮なくお伝えください!」
 そう言って、やっとマシュは私から体を離した。その顔は血色が悪く、クマまで浮かんでいた。ずっと、私の看病をしてくれていたのだろう。未だぼんやりとしている意識の中で、何とか思考を巡らす。
「私、ずっと寝てた……? 怪我、とか……?」
「うん? いや、丸2日ほど寝ていただけで、特に外傷も見当たらなかったし、その他バイタルの数値にも異常は無かったよ? ただ、此方も通信が回復してすぐに、意識の無いキミを強制的に帰還させたからね。負担は大きかったかもしれないな。」
「外傷、異常、無し……?」
 それはおかしい。私は、腹部と右手に、大きな傷を負ったはずだ。そう思い、右手を確認する。
「……。」
 右手には、回復したのであろう令呪があるだけで、傷はおろか、傷跡らしいものすら全く確認できなかった。あれは、夢だったのか……? それに、エドモンは……!?
「一緒にレイシフトした、みんなは……?」
「ああ、アルトリアと、エミヤと、クー・フーリンと、メドゥーサと、メディアなら、キミが冬木へレイシフトして間もなく、こちらで再召喚されたよ。皆、口を揃えて、一刻も早く通信を繋げろって、すごかったんだから。……、一体、何があったんだい?」
 やっぱり、夢なんかじゃない。ダ・ヴィンチちゃんは、真剣な瞳を、こちらへ向けてきた。
「それは……。」


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