第1章 新しい主。
あれから、三日がたった。僕とトラウマ女の接点なんてない。
みんなは一緒に楽しく会話をしているようだったが、僕と清光だけは違った。
最悪だ。
なにが最悪かっていうと沖田くんのことしか考えられなくなっているからだ。
いつもだったら夜寝る時に
あー沖田くんに会いたいな……
っていうのを寝るまで考えているだけなのだが今日はずっと考えてしまう。
部屋の片隅でうずくまる。
加州「ちょっと安定。元気だしなよね。あの人のトラウマ女だからって主なもんは主だし。」
この間まで僕に引きずられないと移動できなかったやつが何言ってんだか。
安定「はぁ……」
長谷部「おい、入るぞ。」
襖があき、長谷部が入ってくる。
僕達の目の前で仁王立ちをする長谷部が口を開けてこう言った。
長谷部「まあ、いきなり聞くが、主と昔何があったんだ。言いたくなければ別にいいが……」
僕は加州に目をそらした。
加州「いやぁ……まあ、簡単に言えば、あの女が昔あの人に振られて、その目の前で自殺した感じ?それからあの人めっちゃトラウマになっちゃって、女遊びも一切やめたんだよねー。相当な傷なわけ。たぶん、安定はあの人を傷つけたのが許せないんじゃないかな。まあ、俺もだけどね。」
そんなところだ。
長谷部「ほぉ……ありがとう。」
長谷部はそう言い残し出ていった。
加州「ったく、安定いつまでもうじうじしてないでよ」
爪を見ながら言う。