第2章 笑顔。
朝。雀の鳴き声がかすかに聞こえてくる。
目を開けてみると僕の枕元は濡れていた。涙目になっているのがよく分かる。
加州「なーに泣いてんの。しっかりしてよね。」
先に起きていたのであろう清光が髪の毛を梳かしながら言った。ここ最近、沖田くんの夢ばかりを見るせいか昔の自分に対しての自虐が止まらない。
きっと、あれもこれもあのトラウマ女のせいだ。こんのすけと全く変な主を連れてきた。
加州「どうせまたあの人の夢でしょ。」
毎朝言われる言葉が加州の口から出てくる。
安定「うん……」
最近、悪いことしか起きない。けれども、きっと良いことが起きる前触れなのだろうと僕は信じている。そうだな、例えば沖田くんが迎えに来てくれるとか。もし、そんなことが起きたら僕は沖田くんに一生の主従を誓い、ずっとそばにいよう。そうしたら、沖田くんと清光と一緒に住むところも探さなければならない。いやまて、もし沖田くんがトラウマ女も連れていこうと言ったら僕はどうするのだろうか。やはり、沖田くんの言うことに従うのだろうか、それとも説得するのだろうか。考えるのも嫌だ。
まあ、そんなことは起こらないことを、僕は知っている。
襖を開け朝の空を見る。
やっぱり沖田くんがいつ迎えに来てもいいように笑顔を守ろうとしている僕は馬鹿だな。
安定「自分の未熟さを感じちゃうのもあのトラウマ女のせいだな……」