第2章 【心はじじい】 じじいとおかんと一匹狼(男主)
昼食は宣言通りうどんで、きつねうどんだった。
例のクッキーを貪ったであろう鶴さんと短刀達は量の少ないクッキーでは腹は膨れなかったらしく普通にうどんも食べていた。
食事はきちんと食べるのが一番。
「主、今日のおやつはクッキーだよね。紅茶淹れようか。」
「いやいい。あれは鶴さんにやった。」
光坊は不思議そうに「楽しみにしてたのにいいの?」と呟くと途端に食べたであろう面子の顔が真っ青になる。
一斉にごめんなさいと謝ってくるが気にしていないと伝えた。
伽羅坊だけ何か言いたそうだが特に何も言わなかった。
「先に仕事に戻る。お主らは食べておれ。」
さっさとうどんを食べ終えて部屋に引きこもる。
政府に報告する書類や案件をまだ整え終わっていない。
伽羅坊がついてくるかと思ったが、あとで行くといってうどんをすすっていた。
しばらく書類をかたずけているとそっと伽羅坊が部屋から入ってきたが気にせず進める。
「あとどのくらいで終わる。」
「これさえ終えれば終いだ。気になるか?」
ひらひらと細かく字の書かれた紙を見せるが、ふいっとそっぽを向かれてしまった。
お気に召さなかったようだ。
さっさと必要事項を記入して茶でも飲もう。
そう思った矢先にボソリと後ろからつぶやきが聞こえた。
「…終わったら光忠から褒美が出る。」
「光坊から?」
必要以上に喋らない伽羅坊がいうからには本当なのだろうが突然褒美とはどういうことなのだろうか。
褒められるようなことはした覚えがない。
「…いいからさっさと終わらせろ。」
「うむ…?」
なんだか不思議に思いながらも仕事は終わらせなければならないのでさっさと取り掛かってしまうことにした。