第3章 【心はじじい】 狸と槍(男主)
翌朝元気になった御手杵だが大事をとって一日さらに休み、次の日同田貫にお礼と称して二人とプラス保護者で出陣の予定を組んだ。
色々やらかしてくれた鶴さんは説教の元、馬小屋掃除に精を出している。
「あーるーじー!俺も出陣したーい!」
「鶴さんは反省しなさい。」
駄々をこねる鶴さんを馬小屋に押し込んで戦装束に身を包んだ御手杵と同田貫に向き直る。
すっかり元気いっぱいの御手杵と自身を肩に担いだ同田貫が保護者の燭台切光忠、大倶利伽羅、蜂須賀虎徹と共に待っている。
「御手杵。病み上がりで無理をするんじゃないぞ。」
「はーい。気をつける。」
「同田貫もあまり突っ走るなよ。」
「わかってる。」
手を挙げて返事をする御手杵と耳にタコだとうんざりする同田貫。
「光坊、伽羅坊、蜂須賀。お目付役よろしくな。」
「任せてよ。」
「…仕方がない。」
「お勤めきっちり果たしてくるよ。」
頼もしい保護者と心なしか嬉しそうな二人を見てほかほかの体は暖かくなった春先の気温だけが理由ではない。
「「「「「いってきます!」」」」」
「ああ。いってらっしゃい。」
声を揃えて戦さ場へと飛び出していった五人を見送って今日もいい天気だと雲ひとつない空を見上げた。