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【刀剣乱舞】心はじじい

第3章 【心はじじい】 狸と槍(男主)


話の流れはこうだ。
鶴さんが水鉄砲を持ち出してきて遊ぼうと御手杵と同田貫に持ちかけた。

この寒い中水遊びなど御免被ると断った同田貫は良いとして御手杵は興味津々にやると言ってしまった。
御手杵を止める間もなく鶴さんがたっぷり水の入った水鉄砲を渡し、あれよあれよと二人揃ってびしょ濡れになったという。

どうにでもなれとほっぽっていたら遊びは終わらず、本丸の庭にあるこじんまりとした池に御手杵が足を滑らせて落ちた。
浅い池であり長身の御手杵だから良かったものの完全に濡れてしまった。

寒空の下そのまま遊び続けてもいくら動いているとはいえ風邪を引く。
面白がってついには畑の水やり用のホースを持ち出した鶴さんを見かねて私の元に助けを求めにきたのだという。

「鶴さんは阿呆なのか。御手杵が風邪を引いたらお主の責任だからな。」
「面目無い…。」
「俺頑丈だから大丈夫だよ。」
「それでもダメだ。ほら毛布ちゃんとかけなさい。」
「主、燭台切りに頼んで甘酒持ってきた。」
「ありがとう同田貫。」

シャワーから戻ってきた二人を暖かい毛布でぐるぐる巻きにしてストーブに当てる。

本格的な冬場に飲んでいた甘酒の残りを持ってきてもらい、二人に渡して冷めてしまったうどんを物悲しげに見つめた。
レンジでチンすれば大丈夫かな。

「御手杵。人の体は暑さ寒さに弱く寒暖差一つで病を患う。風邪を引いたら治るまで戦さ場には絶対に出さぬ。よいな。」
「それは困るなぁ。俺は刺すことしか脳がねぇから。」

困ったような眉尻をさげる御手杵の頭を再び撫でてそんなことはないといいながら鶴丸をひっぱたく。

「鶴さんはしばらく謹慎だ。馬小屋の内番一週間。」
「えぇー!?刑が重すぎないか!?」
「今まで見逃していた細かいものもまとめての罰だ。今日の近侍だってサボりよって。」
「そんなー!」

後生だから見逃してくれとすがる鶴さんに刀に後生も何もないだろうと跳ね除ける。
それよりも軽い発言で鶴さんをけしかけて迷惑をかけたことを同田貫に謝罪した。

「すまん。同田貫達に構ってもらえとけしかけたのは私だ。なんと謝ればいいか。」
「どうせ仕事中にじいさんが駄々こねたんだろ。しょうがねぇし気にしてねぇよ。」

疲弊しきった同田貫には後で詫びの菓子折りを持って行こう。
何があったかと記憶をたどっていると隣で控えめなくしゃみが響いた。
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