第1章 イマドキ女子のとある事情。
「さあ、どんなとこだろうな」
私に背中を向けたままぶっきらぼうにそう答えたエレンに、少しいらっときたのは言うまでもない。
「ふーん……。ね、エレンってさ、なんでそんなに愛想ないの?もっと普通に話したいんだけど」
言葉が直球すぎる?
そんなの知ったことか。
愛想ないのが悪い。それに、生憎とそんなに言葉のボキャブラリーないし、遠まわしに何かを言えるほど器用でもない。
「……愛想がない?そりゃそうだ」
「……?」
それまで私に背中を向けていたエレンが、私の方を振り向く。
「俺はお前みたいになりたくないからな」
シニカルな笑みを浮かべながら言った、挑発とも取れる言葉に、私は怒りとか通り越して、無になった。そして、そのままその場に硬直し、教室を今度こそ出て行ったエレンの背中を見送った。
そして、それから少し時間を空けて、じわじわと怒りが込み上げてきた。
「え、は、今、嫌味言われた?嫌味だよね?は?え、ちょ、は?」
あいつ……まじなんなの!
ほんっと、気に食わない。話しかけなきゃ良かった。
なんて怒りや後悔が混ざりあって、よく分からない感情になる。
「はぁ……もう帰ろ」
さっきので、どっと疲れた。