第5章 魅惑の女性
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ネオジャパンとの試合は2-1でイナズマジャパンが勝利を収めた。この試合は風丸のほかにも各々成長のきっかけとなる試合となった。円堂は正義の鉄拳を進化させたし、緑川はライトニングアクセルを習得した。飛鷹も必殺技ではないが相手が放った必殺技、トライアングルZを失速させるという未知のディフェンスの才能の鱗片を見せた。
試合後、花織はグラウンド整備を終えて食堂へと向かう。秋たちが先に準備をしてくれているから急いで手伝いに行かなければならない。そう思いながら靴を履き替える。上履きの踵を正していると前方から誰かの足音が聞こえた。
「月島さん」
花織は面を上げる。目の前に立っていたのは背の高い女性だった。吉良瞳子、かつての雷門の監督。彼女は花織と同じ長い黒髪を払って花織を見据えている。
「瞳子、監督……」
花織が絞り出すような声で呟く。花織は瞳子が苦手、というかあまり良い印象を持っていなかった。確かに彼女は優秀で、イナズマキャラバンを導いていてくれたが花織と彼女の間には風丸が離脱したときのやり取りで軋轢が生まれていた。その後、一対一で話した記憶があまりない。花織が避け続けていたからだ。
「何か御用でしょうか」
毅然と、だがやや冷たく花織に言葉を返す。瞳子はしばらく無言を貫いていたが、沈黙の後に静かに呟いた。
「……風丸くん。戻ってきたのね、貴女の信じた通り」
「……。当たり前です。彼は走ることが、サッカーが大好きだから」
きりりとした面持ちで花織が告げる。その瞳は風丸に対しての信頼に満ち満ちていて、凛と美しい。瞳子はゆっくりと目を伏せた。そして口元に微笑みを湛えて告げる。
「そうね、当たり前だわ。彼は地上最強のサッカーチームの一員だったんだから」
花織は少しだけ目を瞬かせる。”彼が戻ってきたとき、彼がチームに加わることを許してください”風丸がチームを去った後、花織が瞳子にそう願った。そして今、瞳子は風丸があのチームの一員であったことを認めた。イナズマキャラバンが解散し、そのチームが無くなった今、今の瞳子の言葉はその約束を果たすと同等の価値のある言葉ではないだろうか。
「……瞳子監督」