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諸恋

第2章 選ばれた精鋭




「……」

文書に目を通してみて花織はまず内容の真偽を疑った。FFIなんて聞いたこともない。毎日毎日サッカー少年たちと過ごしているし、何より花織自身もサッカーに興味を持っているのにこんな大きな大会の情報が入ってこないものだろうか。試しに携帯で検索を掛けてみても何もかからない。ただ単純にまだ未発表なだけだろうか。彼女の恋人の風丸も何も知らなかったようだった。

「うーん……」

ソファに身体を投げ出し、困り顔で花織は携帯の電話帳からある一人の名前を呼び出そうとする。通話ボタンを押しかけて、少し考え押しとどまった。相手はきっと構わない、といって許してくれるだろうが、この遅い時間にこんな信憑性のないことで連絡するのは迷惑だ。何より、この用紙の注意書きに”本件に関しましては機密保持をお願いいたします”と記載されている。もしもこの文書が真実だったとしたら守るべき事項だろう。

「……あ」

花織はとある事項に気が付いて文書の日程の要綱に目を通す。日本代表候補選手発表が明日の正午より雷門中学にてとなっている。マネージャーの説明はその一時間前だ。奇しくも秋に指定された時間と場所が指定されている。

よくよく思い返してみれば、今日秋は去り際に妙なことを言っていたような気がする。明日を楽しみにしててね、とか。試合でもないのに何を言っているのだろうと彼女の言葉に疑問を抱いたのだがこれは。

一郎太くんが響木監督に呼ばれた理由って……。

花織は考えを巡らせる。もしもこの話が真実なのだとしたら。……あり得なくはないだろう。彼らはフットボールフロンティアの優勝校の選手。日本を救ったヒーローで、地上最強のサッカーチームの一員。日本中学サッカー界においてトップレベルのプレイヤーだ。

「……よし」

花織は信じてみることを決意して立ち上がる。すべては明日。明日になればすべてわかるはずだ。
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