第2章 選ばれた精鋭
翌日、花織は例の文書を持って雷門中へと向かっていた。はたしてこの文書に書かれていることは事実なのだろうか。昨夜はそのことばかりが気にかかってあまり眠れなかった。
昨日のうちに両親にはこの件をまだ詳しい説明はないがと話した。正直言ってあまり良い反応が得られたとは言えない。マネージャーになるということは選手たちと行動を共にするということであって、その分の勉学が遅れてしまうということに他ならない。良い経験にはなるだろうが……、とは言ってくれていたものの、ほんの三か月前地上最強チーム結成の旅に出ていたこともあって花織の勉強が遅れるのではないのかと心配なのだ。
何にせよ、説明を受けてみなければ分からない。十分な説明を受けてから決めるべきことだ。
花織はようやく通いなれた道を通って雷門中へと向かう。時刻は現在十時三十分、おそらく集合十五分前には雷門中に到着できるだろう。
「花織さん」
急に自分の背後から自分の名前を呼ばれて花織は驚く。聞き覚えのある声に彼女は振り返った。そしてあっと声を上げる。花織と同じくらいの背丈の少年。ふわふわの銀髪で、彼の穏やかな深緑色の目は花織を柔らかに見つめている。右手を上げ、朗らかに花織に声を掛けた彼は変わらない微笑みを浮かべていた。
「えっ、士郎くん!?」
「久しぶりだね、元気だった?」