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諸恋

第3章 恋人の距離




「一郎太くん、さっきは大丈夫だった?怪我してない?」

焦ったような口調でおろおろと風丸を見つめて花織は尋ねる。少し時間が経ってしまっているから無理に我慢をして練習に参加していたなら今すぐにでもケアをしなければ後に響いてしまう。強化合宿二日目で怪我なんて洒落にならない。

「大丈夫だ。派手に転びはしたが、今はもう痛みはほとんどないから」
「本当に?」

花織は半信半疑で風丸を見つめる。彼は多少無茶をすることがあると花織は知っている。以前も怪我をおして何も言わずに試合に出ていたということがあるから、余計に心配だった。表情にそれを隠しきれていない花織を見て風丸は少し呆れたように笑う。それでも彼の表情には花織の心配を嬉しく思っているという本心が滲んでいた。

「ああ。大丈夫だよ」

念を押してくれる彼の言葉に花織はようやく安堵の息をついた。怪我がないならばそれでいい。よかった、と花織が呟けば風丸が花織の頭にぽんと手を置いた。

「すまない、心配かけて」
「フン、いいねえ。風丸クンは」

厭味ったらしい声がふたりの間に割いる。風丸と花織が驚いて声の主を見た。風丸の手がさっと花織から離れる。不動だ。にやにやと不愉快な笑みを浮かべている。さきほどの行為を悪びれるつもりは一切ないらしい。

「ちょっと転んだくらいで、カワイイ彼女が心配してくれるんだもんなあ?」
「なっ……。元はと言えば不動くんが」

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