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諸恋

第3章 恋人の距離


***

翌日ももちろん厳しい練習が始められた。険しい面持ちで練習を眺める久遠監督の指導の下、彼らは練習を行っていた。今行っているのは選手を二チームに分けての練習試合形式の練習である。

今日も今日とて久遠監督の怒号が時折飛んでいる。それによりチームが少しギスギスしているのを花織は何となく肌で感じ取っていた。久遠は選手のダメな点は指摘するのだが、それをどう改善すべきかは指摘していない。代表レベルともなれば自分でどうにかしろというところだろうか。そしてフォローを入れずに叱りっぱなしになっているから、選手も久遠の指摘を複雑に感じているようだ。傍で聞いている花織も監督の指示の意図が中々掴めないでいる。

花織は静かに青髪の彼が走る姿を見ていた。動きは悪くないし、いつも通り持ち味のスピードでフィールドを駆けている。決して調子は悪くなさそうだ。

「風丸!!」

彼の名を呼び、鬼道がパスを送る。ばっちりのタイミングで風丸はパスを受け取って走り出した。無駄のない動きで見事な連携だといえるだろう。何だかんだ、鬼道と風丸も同じチームでプレイして数か月になるから息もあっている。

花織はドリブルをしていてもほとんどスピードの落ちない風丸の姿を見つめている。また一段と速さを増している彼の走る姿を見て花織は感嘆の息を漏らした。その時だった。

「うわあっ!!」
「あっ……」

目に映った光景に思わず花織の口から悲鳴が漏れた。ボールを持っていた風丸に対し、不動が後ろからスライディングをかましたのだ。風丸はバランスを崩し、上体から地面に叩きつけられた。痛みに表情を歪め、すぐには立ち上がれないでいるようだ。

「風丸!」
「っ、大丈夫だ!円堂!」

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