第16章 エピローグ
「風丸くん、今日雷門に行ってるの?」
「そうみたい。何でも鬼道さんに呼ばれたみたいで、壁山くんや不動くんと一緒に」
花織はそう言って荷物を纏めはじめる。ちらと時計を見れば午後六時三十分。随分と昔話に盛り上がってしまった。もっとも、後半はほとんど花織の話になってしまったのだが。
「秋ちゃん、今日はありがとう。そろそろお暇するね。この後、一郎太くんと雷門中で待ち合わせしてるから」
鞄を手に持ち、花織が秋に言う。彼のとの約束は七時だからそろそろいい時間だろう。今から雷門中へ向かえば十分前には到着できるはずだ。秋はそうなんだ、と花織に笑い掛ける。
「それじゃあ松風くん、練習頑張ってね。フットボールフロンティア……。あ、今はホーリーロードっていうんだっけ?勝てるように応援してるから」
「はい!月島さんもよかったら風丸選手と一緒に試合を見に来てください!!」
天馬が花織に勢いよく頭を下げる。花織はその中学生らしい溌剌とした態度に好感を持った。十年前は私も中学生だった、そう思うと少し寂しい気もするが頼もしい後輩がこうやって彼らの後を続いていることを思うと安心する。花織は二人に見送られて木枯らし壮の玄関を出る。手を振り去り際に秋が思い出したように声を上げた。
「花織ちゃん、明日雷々軒には来るの?」
秋の言葉に花織は頷いた。明日は外国に行っている染岡や、他県にいる吹雪たちなども皆集まって雷々軒で同窓会をするらしい。だからこそ、同じ都内でも稲妻町を出てしまった花織は一足先に稲妻町の実家に戻ったのだった。
「うん。折角みんな集まるから、行くつもり。……また明日ね、秋ちゃん」
花織はひらりと手を振る。そして夕焼けに染まった通学路を彼女は静かに歩き始めた。