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諸恋

第16章 エピローグ




「ただいまー!秋ネエ!!」

そんな中、元気な声と一緒に一人の少年が秋の部屋の扉を叩いた。秋も花織も驚いて扉の方を見る。そこには新しくなった雷門中の制服に身を包んだ少年が立っていた。少年はお客である花織の姿を見てわわっと叫ぶ。

「お客さん来てたんだ……!こんにちは!」
「こんにちは」

彼の気持ちの良い挨拶に、花織は微笑んで彼に対して軽く会釈をした。秋の部屋に帰ってきたということはこの子は秋が面倒を見ていて部屋を貸している子なのだろう。秋は立ち上がって彼の元へと歩み寄る。

「お帰り、天馬」

天馬、その名前に花織は首を傾げた。どこかで聞いた名前だ、誰かが話していたのだったか。花織はその名前に聞き覚えがあった。秋は天馬の傍に寄ると、彼の肩に手を置いた。

「花織ちゃん紹介するね、この子は松風天馬。雷門中の一年生でサッカー部に入ってるの」
「ああ……、通りで名前に覚えがあると思った。前に鬼道さんから話には聞いてる」

苗字を聞いて花織は誰にその話を聞いたのかを思い出した。現在、雷門中学サッカー部の監督をしているという鬼道から話を聞いたのだ。

花織と鬼道は未だに誰よりも親密な友人としての仲を築いている。高校の時から彼がイタリアのリーグで活躍しているときも必ず月に一度は会って行きつけの喫茶店で話をしていた。彼が帰国してからはより頻回に会うようにもなった。鬼道と花織の関係は風丸公認のものであり、鬼道有人は花織が今となっては誰より連絡を取る人物であるといえる。だから天馬のことも知っていた。
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