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諸恋

第16章 エピローグ




「風丸くんは元気?」

秋が当然のように花織に尋ねた。花織は秋の言葉に目を細めて、微笑み頷く。風丸一郎太、花織が雷門中に転校してきたその日に出会い、恋をして、そして今なお恋人で在り続ける彼。現在日本代表選手として壁山や不動たちと華々しく活躍をしている。

「元気だよ。あんまり会えないけどね」

花織はそう言ってミルクティーを一口飲む。彼とは毎日電話はできる限りしている。だが花織の仕事の都合、彼の練習や試合の都合で月に何度ふたりきりで会えるか、と言ったところだ。もちろん花織は彼が試合の日には休みを取って試合を見に行くようにしているが、ふたりきりで会える時間は取れない。

「結婚はまだしないの?」
「……え?」

花織がきょとんとした様子で秋を見る。秋はさも当然のことを聞いたというような表情をしていた。何しろ風丸と花織の交際はもう十年も続いているのだし、ふたりの仲は良好だった。むしろ何故、風丸が十八になった時に籍を入れなかったのかが周囲にとっては不思議なくらいだった。

「私、知り合いの中で一番に結婚するのは花織ちゃんと風丸くんだと思ってた」

秋は花織を見つめてそう言った。去年の夏ごろ、雷門中サッカー部のキャプテンだった円堂守と雷門中学理事長の娘、雷門夏未が結婚した。彼らをよく知るメンバーにとっては衝撃的な出来事で、あの鈍い円堂が一体どんなプロポーズをしたのかと盛り上がったのを覚えている。まさか一番があの二人だとは誰も予想していなかった。花織はティーカップを持ったまま、困ったように首を傾げた。

「結婚、できるのかな……。私たち」
「え?」
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