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諸恋

第16章 エピローグ




花織の悪戯っぽい微笑みに照れた様子で秋が頬を染めて俯いた。その様子から秋と一之瀬の関係が良好であることを花織は察する。秋と一之瀬は高校を卒業した頃からようやく恋人として付き合いを始めていた。FFIの後、一之瀬はきっぱりとリカに自分の気持ちを話し、その後秋にも想いを告げたのだという。自分が行動をやめてしまわない限り、俺はこの状況がどうにかなると信じている。かつて彼は花織にそう言ったが、それを有言実行したのには心から尊敬する。そして今彼は秋によれば、アメリカのリーグで活躍していると聞く。

さて、一之瀬と秋が結ばれた結果にリカだけが報われないのかとも思ったが、リカにも新たな恋が芽吹こうとしていた。FFIの間に起こったある事件から、彼女は当時イギリスのナイツオブクイーンのキャプテンだったエドガー・バルチナスと知り合い、彼がリカに想いを寄せているのだという。リカはずっと一之瀬に対する一途な想いを貫いていたが、最近はエドガーの猛アタックに心を許し始めていると聞く。

「そ、そういえば花織ちゃんは今、どうしてるんだっけ?」
「一応都内に住んでるよ。ヒロトさんのところで働いてるの」

自分のことを話すのは照れくさかったのか、秋は慌てたように花織の話に話題を切り替えた。花織が大学を卒業して就職をして、もう一年以上になる。早いものでこの生活にもすっかり慣れてしまった。花織は吉良財閥で保健師として働いていた。お日様園にもたまに仕事で向かう。新しい友人や同期もできた。花織は秋が淹れてくれたミルクティーに砂糖を落とす。それでもあの輝かしい中学生時代の仲間たちはどれだけ経っても他とは違って特別だった。
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