第13章 ふたりの軌跡
花織は豪炎寺を見つめてぎゅっと胸に手を当てる。彼女の瞳が豪炎寺の真っすぐな瞳を見据えた。豪炎寺は何も言わずに花織を見つめ返している。花織は透き通るような声で豪炎寺に問いかけた。
「私はちゃんと、豪炎寺くんに宣言したようなマネージャーになれてたかな」
純粋な疑問だった。花織はフットボールフロンティアの決勝戦前、豪炎寺に宣言した。見守るだけじゃ嫌だから自分ができることを全力ですると。もっと多くの選手の役に立ちたいと。豪炎寺は少しの間彼女の問いかけに何も返さなかった。何も言わず、静かに花織の傍に歩み寄って彼女の前に立った。
「花織、お前は」
そっと花織の髪に豪炎寺の手が触れる。彼の手は優しく花織の髪を撫でた。久しぶりだ、豪炎寺が花織の髪を撫でるのは。でも彼は以前はこうしてよく花織の髪を撫でていた。彼は優しい眼差しで花織を見つめる。
「お前はお前にできることをやっている。マネージャーとしてイナズマジャパンにとって必要不可欠な存在だ。お前が誰かに対しての贔屓が過ぎるのはもちろんだがそれ以上によくやってくれている」
その言葉は豪炎寺からの最大の賛辞だった。花織は豪炎寺の言葉に悪戯っぽく笑った。手の中のそれを大事に大事に握りしめて花織はありがとう、と豪炎寺に礼を言った。豪炎寺は優しい眼差しで花織を見つめる。
「明日も期待しているぞ、マネージャー」
「うん」
花織がにっこりと笑うと豪炎寺がそっと花織の髪から手を退けた。そして再びポケットに手を突っ込む。そして数歩花織から距離を取った。
「俺はもう戻るが花織はどうする?」
「先に行ってて、すぐに私も戻るから」
彼女はそう言って豪炎寺を見送った。ひとりきりになり、彼女はポケットから携帯電話を取り出す。そしてひとり、彼女は静かに彼宛のメールを打ち込み始めた。