第13章 ふたりの軌跡
「その説得にお前は邪魔だ」
ウィンディは、出会った時から月島花織を運命の人だと信じていた。一目見たときから彼女に惹かれ、そして共に走るたびに喜びと自分の運命はこの少女と共に在るものだと理解した。花織も徐々に心を開いてきてくれている。
邪魔なのは風丸の存在だけだった。いつも風丸が疎ましかった。自分によく似た、日本代表の選手。彼のプレーをウィンディは目にして、その自分の持ち味とよく似た特徴に目を見張った。そして競争心を煽られた。
「お前、足には自信あるほうだろ。この間、ガルシルドのチームとの試合見たぜ。お前は速かった、でも俺には劣る」
「……」
「だから明日、はっきりさせてやる。俺とお前、どっちが速いのか。誰がカオリに相応しいのかを」
ウィンディは風丸を煽り立てる言葉を使って風丸の心を徐々に勝負へと引き出していく。お互いに速さには自信があった、見目も似ていた。面と向かって衝突するのは時間の問題だったのかもしれない。
風丸は目を伏せる。夕日が落ちて、全てが暗闇に包まれ始めた。強く握ったこぶしをまた更に強く握りしめる。男として、花織の恋人としてできることを考えた。
「分かった、その勝負受けて立つ」
熱意のこもった瞳で風丸はそう宣言した。ウィンディは二ィ、と口の端を上げて笑った。だが、とすぐに風丸は言葉を続けた。さらりと彼の結われた髪が揺れる。握ったこぶしを左胸に当て真っすぐにウィンディを見据える。
「勝つのは俺たち、イナズマジャパンだ。だから、花織は決して渡さない」
その瞳には揺るぎない信念があった。