第13章 ふたりの軌跡
「カゼマル、俺と勝負しろ」
「勝負……?」
「ああ。明日の決勝戦、イナズマジャパンが勝ったら俺はカオリを諦める。だが俺たちコトアールが勝ったらお前はカオリと別れろ」
はっ、と風丸は予想だにしなかったウィンディの言葉に目をむいた。だがウィンディの瞳は真剣だった。冗談は決して言っていない目だ。それでも風丸はウィンディが切り出した訳の分からない勝負に顔を顰め、言葉を返す。
「何を言ってるんだ、そんな訳が分からない勝負をするわけが」
「お前じゃ、カオリを幸せにできない」
風丸の言葉を遮ってウィンディが強く言った。風丸は言葉を詰まらせる。花織を幸せにできない、その言葉が強く風丸の胸に突き刺さった。そんなことはない、と風丸が反論する前にウィンディは言葉を続ける。
「俺は明日、優勝を手土産にカオリにプロポーズする」
プロポーズ、その言葉には中学生にはとんでもない重みがあった。風丸は驚いて息を飲む。だがウィンディは全く動じる様子もなく再び腕を組んだ。ウィンディは本気だ、風丸はウィンディを睨む。少なくともこいつは花織に対して並々ならぬ感情を抱いている。
「花織の気持ちは考えているのか?お前の独りよがりに、花織を付き合わせるわけにはいかない」
「コトアール共和国は十六で成人だ。だからそれまでの時間をカオリとカオリの両親の説得に当てるつもりだ」
ウィンディが曇りもなく風丸を見据える。花織を愛しているのだという自信が彼の言葉にはあった。そしてウィンディは乱暴な言葉を風丸に突き付ける。