第13章 ふたりの軌跡
「花織、戻るぞ」
握った手を引いて風丸が言う。花織はハッとして面を上げた。いつの間にか冬花はこの場を去っていて、すぐにもキャラバンに戻らなければならないことを察した。花織は振り返って複雑そうな表情で立ち尽くすウィンディに小さく会釈をした。
「またね、ウィンディ……」
「……」
ひらりと小さく手を振って、花織は風丸と共にその場を去る。その場に残されたウィンディはさらりと靡く彼女の黒髪を見つめる。そしてぎゅうっとこぶしを握り締めた。
今、たった今花織の表情が一瞬陰った。イナズマジャパンのマネージャーが現れてからだ。風丸が現れたその女と話をしている間、花織は俯き居心地の悪そうな表情で彼らから目を逸らした。またあの女だった、自分が花織をデートに誘いに行った時と同じ女。花織があの女を気にしているのは明らかなのに風丸はそれに気づく様子もない。
……何で、カオリにあんな顔をさせられる?
ウィンディが胸の奥に感じているのは強い憤りだった。強く右手でずきずきと痛む胸元を握りしめる。去っていくときの花織の繕った表情に感情の波が荒れ狂っていた。寂しげだった、苦しそうに風丸を見ていた、俺には分かる。
……やっぱりお前がカオリの傍にいる資格はない。
彼女にあんな顔をさせるような奴が、彼女の隣にいていいはずがない。