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諸恋

第13章 ふたりの軌跡





いい加減にしろ、と言いたげに風丸がウィンディを睨みつける。ウィンディも不機嫌そうな表情で腕を組んだ。気まずい沈黙の中二人は睨み合う。二人がいがみ合う理由は分かっていても、花織は二人の間に分け入ることはできなかった。ただただこの空気をどうしたらよいものかと困った表情で風丸とウィンディを見比べる。

「風丸くん、花織さん」

そんな火花散らす渦中に完全なる第三者の声が分け入った。三人ともその声の主に視線を向ける。彼女は風丸と花織を見つめてそこに立っていた。

「もう合宿所に帰るみたいだから、キャラバンに戻りましょう?」

久遠冬花、彼女は静かな声でそう言い、風丸と花織に促した。花織はじっと風丸と冬花を見つめる。風丸と花織の中は至って良好だ。だが先日抱えた蟠りはいまだ解消されたわけではない。

「ああ、ありがとう久遠」

ただ単純に礼を言い、笑う風丸の裏に本当は何か隠し事があるのかもしれない。冬花と風丸のやり取りを見つめながら花織は少しだけ目を細める。花織は先日のあの出来事や日々の小さな積み重ねからやはり冬花と風丸の間にある何かを疑わずにはいられなかった。もちろん態度にあからさまに出したり、冬花や風丸に対して何を言うわけでもないけれど、ただただ気にかかっていた。

「……」

花織は俯いて髪を耳に掛ける。こうして勝手にモヤモヤしていたって何も解決しない。花織は自分の手を握っている風丸の手を見つめる。そんなことは分かっているけれど、解決するすべはない。先日、彼らに話を誤魔化されたことが確実に尾を引いていた。
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