第12章 彼の秘密
よくよく思い出してみれば先ほどは勢いに任せて彼女を蹂躙した。おそらくそれはその時に付けてしまったのだろう。幸いにもそれは服を着れば隠れる位置に付いていた。
「一郎太くん?」
「な、何でもない……」
気が付いてしまうと胸がざわざわとして落ち着かなくなった。挙動不審な風丸の態度に花織が首を傾げて風丸を見つめ、言葉を掛ける。風丸は真っ赤になって彼女の視線から逃れるように目を逸らした。意識をそれから振り払おうと目に見えるものを話題にした。
「そ、そういえば、花織が着ていた服は……」
「あっそうだ、早く洗わないと」
借り物のジャージを畳んでいた花織が思い出したように声を上げる。風丸が立ちあがって目についたビニール袋を手に取った。よかったら俺が洗っておく、そんな言葉を掛けようとして風丸は言葉を留めた。ビニール袋の中に入っている青は風丸にとって見覚えのある色だった。
「貸して?」
そっと彼女の手が風丸の手に触れる。ジャージの袖を肘までまくり上げた彼女はベッドから降りて、風丸の手からビニール袋を受け取った。花織は湿り気を帯びたそれに手を触れ、ビニール袋から取り出した。そして風丸の前で広げて見せる。
「イナズマジャパンの、ユニフォーム……?」
毎日風丸が身に着けている青色のユニフォーム。おそらく彼女が元々着ていたのであろうもの。ユニフォームのわき腹から胸元にかけてが泥染みになっている。風丸は花織とユニフォームを見比べた。どうして、花織がこれを。桜色の頬に益々赤みを差して、彼女ははにかむ。瞳を恥ずかし気に潤ませて、ユニフォームを持ち替えジャージの背中側を風丸の方に向けた。