第12章 彼の秘密
眉根を下げて笑み、今度は花織が風丸に対して謝罪の言葉を口にする。実際、風丸にこんな風にされても彼女はまんざらでもなかった。だから強引な彼の手を拒むことは無かった。
「花織……」
無性に愛おしさがこみあげて風丸はベッドに上がり、花織の身体をそっと抱きしめる。髪を撫でればまだしっとりとした感じが残っている。雨に濡れてしまったのだろう。冷静になった今ならよくわかる。
「好きだ」
「……うん」
花織は風丸の抱擁にそっと目を閉じる。温かい彼の体温に包まれると心まで温かくなるような気がした。彼の背中にゆっくりと手を回す。こうしていると自分が彼を好きだと言ってもいいような気が、花織はした。
「……いつまでもこのままだとまた風邪をひくな」
肩越しにそう呟いて風丸が花織を抱き寄せていた腕を緩める。胸元までを布団で覆い隠しているものの、今もまだ彼女は肌を空気に晒したままだった。風丸は自らが来ているジャージを脱いで花織に手渡す。
「花織、これを着てろ」
「うん、ありがとう」
花織は素直に頷いて静かに身に纏っていたジャージを脱いで風丸が手渡した日本代表のジャージを羽織ろうとする。
「……っ」
着替える彼女に悪いからと風丸が視線を逸らそうとしたその時。ふと視界に入った彼女の胸元、鎖骨の下あたりに目を奪われて風丸は息を詰まらせる。彼女の雪のように白い肌にはくっきりと赤い花が咲いていた。風丸は全身が熱くなるような感覚を覚えて口をぎゅっと横に引き締める。