第2章 選ばれた精鋭
いやいや、それでも目立ったミスはしていない。いつもみたいにしっかりとしたディフェンスはできていた。それに綱海を抜き去り、決まりはしなかったがディフェンスを振り切ってシュートも打てている。足の速さは十分にアピールできていたから絶対大丈夫……、そんな風に花織は自分に言い聞かせる。
豪炎寺や鬼道は納得のプレーを見せ、染岡も吹雪もフォワードとして一点ずつ点を稼ぎ、アイコンタクトで意思疎通を図っていた。良いプレーを見せていたと思う。綱海は円堂が取りこぼしたボールをファインプレーで守り切った。
そして代表候補に選ばれただけあって不動はやはり頭がいいと花織は改めて思った。鬼道にとっては不本意だろうが、おそらく鬼道と同じくらいゲームメイク能力はある。今日の試合では決めるところで決め、確実に得点を稼いでいた。
思い返せばほとんどのメンバーがベストなプレーをできていた。誰が選ばれてもおかしくないかもしれない。
いよいよ代表選手発表の時が迫る。選手たちの前に響木監督ともう一人、知らない男性がたった。不思議そうに男性を見つめる選手たちに響木が言葉を放つ。
「選考通過者発表前に日本代表チームの監督を発表する」
選手たちからどよめきが起こった。花織はその男性を見つめた。紫色の髪、同じ色のあごひげを蓄えたクールな雰囲気の30~40歳台の男性だ。黒の瞳は無感情に選手を見つめている。……この感じ、何となく花織には覚えがあった。