第1章 始まりの予感
だが恋人同士になっても風丸の悩みは絶えなかった。彼女は自分に一途な想いを抱いてくれていたが、それ以上に彼の恋人である花織はその容姿と優しい性格のために色々な異性から想いを寄せられていたのだ。それは彼女が風丸の恋人となってからも変わらず、風丸はいつも彼女の周りにいる異性に嫉妬の念を抱かなければならなかった。
さらに地上最強チーム結成の旅に出てからは、風丸が守るべき対象である花織も選手として宇宙人との試合に出て、直接戦わねばならない状況が生み出され、一刻も早く宇宙人を倒さなければという焦りから、彼は力を求める思想に悩まされるようになった。
宇宙人の襲来という危機的な状況、自分の情けなさなどが風丸の心を追い詰め、彼と花織は二度目のすれ違いを余儀なくされたこともあった。だが今度は彼女が風丸に対する一途な愛を持ち続け、すべての戦いの終わりにようやく素直な気持ちで結ばれることができた。
ふたりは今となっては元通りの、チームメイトに呆れられるほどの仲睦まじいカップルである。もう何者も彼らの中に割いることはできないかのように思えるほどだ。
「ごめんね、来る途中で岩手くんと総細くんに会っちゃって」
花織が知り合いの名前を出せば風丸は納得したように頷いた。岩手と総細は陸上部のふたりの友人だ。たまたま練習帰りの彼らと花織の話がはずんでしまったせいで少しここへの到着が遅れてしまったのだ。
「何か言ってたか?」
「今日は一郎太くんと一緒じゃないのか、って。冷やかされちゃった」
「またか……。飽きないな、アイツらも」