第11章 麗しの花嫁
青年は両の手を握り合わせて真っすぐに花織を見据えて問うた。花織は石壁に背を預けつつ、彼を見て自分の身を守るように自分の胸の前で腕を組む。
「今朝は少々冷えて御座います。朝風は身体に毒ですよ」
青年は花織の警戒を他所に部屋へと踏み込み、先刻花織が開け放った窓を閉めた。花織は用心深く青年を見ながら彼とは一定の距離を取って後ずさる。
「貴方は……?」
「申し遅れました、私はエカデル。花嫁様の身の回りのお世話をさせて頂きます」
エカデルと名乗った青年は深々と頭を下げる。
「花嫁?」
花織はエカデルの放ったその一言に怪訝そうに顔を顰めた。意味が分からない。だが花織の混乱などまったく気にしないように今度はまた同じ服を身に纏ったふたりの少年が部屋へと台車を運び込む。
「何……?」
花織が明らかに戸惑ってぎゅっと自分を強く抱く。目の前で展開されてる出来事に頭が付いて行っていない。
「朝食にございます」
「あの、エカデルさん」
困惑しつつも花織が切り返す。テーブルには着々と朝食の準備が進められて行っている。七面鳥、スープ、サラダ、果物。まるで王族のための食事のようだ。花織はそんな食事を他所にエカデルを見つめる。
「私は今すぐにでも帰らなくてはいけないんです。チームに心配を掛けてしまっていますし……」
「そういうわけにはいきません」