第11章 麗しの花嫁
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深い心地よい眠りから目覚めたような気分だった。花織は意識の覚醒と同時に瞼を開く。目に飛び込んできたのは見慣れない天蓋。驚いて飛び起きれば見覚えのない石造りの部屋に彼女はいた。
「ここは……?」
思わず声を漏らす。寝かされていた豪華なベッドから降りて彼女は靴を履いた。そしてきょろきょろと部屋を見回す。部屋にある唯一の扉の取っ手を捻ってみるも鍵がかかっているのか、扉は開かなかった。
「……」
そうしているうちに、彼女は段々と意識を失う前のことを思い出し始めていた。雷鳴轟くピッチに降り立った天使のような少年。彼に指先を突き付けられたと同時に深い眠りが花織の意識を奪った。おそらくあの少年にここまで連れてこられたのだろうということを花織は推察する。
やっぱり、この伝承の鍵の為……?
花織は眉をひそめて腕からなおも外れない腕輪を見る。これのためにここに連れてこられたのだとしても、ここに花織を連れてきた人物は一体花織をどうする気なのだろうか。
考え込みながら花織は部屋の窓を開いた。ここは鍵がかかっていないようですんなりと窓が開かれると同時に冷たい風が部屋に吹き込んできた。風になびく黒髪を抑えながら花織は少し背伸びをして窓の外を覗き込む。想像以上に高い場所だ、ここからの脱出は無理だろう。
そのときがちゃ、と部屋の扉が開く音が聞こえた。
花織はびくっと飛び上がって背後を振り返る。扉から部屋に入ってきたのは青い髪の整った顔の青年だった。花織は警戒しつつ、青年を見やる。あの少年、花織をおそらくここに連れてきた少年と全く同じ奇妙な服装をしている。
「お目覚めですか」