第11章 麗しの花嫁
風丸が痛む身体を押して立ち上がる。風丸の瞳は得体のしれないものに対する恐怖よりも、花織に襲い掛かる不審者へ対する怒りをこめたものへと変わった。彼は顔を顰めると同時に立ち上がって駆けだした。
「花織に触るな!!」
その不審者を花織から引き離そうと手を伸ばす。だがそれに気が付いた少年は不愉快そうに顔を顰め、サッカーボールを蹴り上げた。
「人間、邪魔をするなっ!!」
彼は風丸に思い切りボールを蹴りつける。そのボールは真っ直ぐ花織に向かって走っていた風丸に直撃した。風丸の身体が数メートル飛ぶ。再び地面に叩きつけられると同時に、同じく花織の元へ駆けだそうとしていた鬼道が風丸の身体を支えた。
「風丸!大丈夫か?」
「ああ、でも花織が……っ」
風丸が腹部を抑えて鬼道の助けを得て、身体を起こそうとする。するとボールを蹴りつけた張本人、奇妙な少年が風丸の傍まで歩み寄った。風丸を見下すような微笑みを張り付けて花織を横抱きに抱いている。
「これ以上の邪魔だては、恐ろしい結末を迎えることになるぞ」
風丸は少年を強く睨む。花織、と腕に抱かれた彼女の名前を呼んでみるも、花織は意識を失っているようで少年に抱かれたままだ。風丸がゆっくりと立ち上がる。腹部を抑えながらもぎろり、と奇妙な少年を睨みつけ、低い声で声を放った。