第11章 麗しの花嫁
グラウンドへ向かって階段を下りる。すでに試合はキックオフしているみたいだ。花織とリカは小走りでベンチへ急ぐ。それにしても天候が優れない。ついにはゴロゴロと雷も鳴り始めたようだ。ピシャンという音と同時にあたりが光に包まれる。そうとう近くに落ちたみたいだ。
「きゃっ」
思わず花織もリカも耳を塞いでしゃがみ込んでしまう。試合も一時ストップしたようだ。このままプレイするのは危険かもしれない。そう思いながら花織が目を開ける。するとぼんやりとした光が自分の腕を包んでいるのが見えた。
「えっ……」
花織の腕に嵌めた腕輪が白く光り輝いている。でもいったいなぜ。花織は驚き、唖然としているとリカが花織を振り返った。そして彼女の腕の輝きを見て同じように驚いたような顔をする。
「ちょ、何で、こんなんなってんの……!?」
リカが花織の腕を取る。そして腕輪を引っ張って外そうとした。でもやはり外れない。それと同時に近くからも悲鳴が上がる。二人の視線がそちらへ向いた。紫色の光がここからでも見える。春奈の腕に嵌った腕輪も光っているのだ。
「何なんですか……?」
「これ……。夏未さんの言っていた話は」
「まさか、あれは伝説よ」
マネージャーたちがおののきながら声を上げる。ピッチに立っていた塔子が眉を吊り上げて言葉を吐いた。
「あの爺さんたち絶対怪しかったもん。やっぱり何かあるんだよ」
風丸はその言葉を聞いて何となく嫌な予感が自分の胸を過る感じがした。ストップした試合を置いて花織の元へと駆け寄る。彼女の腕に嵌った腕輪は今もなお、光り輝いている。
「大丈夫か、花織」
「一郎太くん……」
不安げな表情をして花織は風丸を見上げる。突如、グラウンドにある照明塔に雷が落ちた。あたりは激しく光り、衝撃に各々身を守る。風丸も思わず花織を抱き寄せて彼女の頭を守るようにして身をかがめた。