第11章 麗しの花嫁
それにしても。花織は食堂の窓から外を眺める。午前中は晴れていたはずなのに、今はどんよりと空が曇っている。今日は一日中晴れの予報だったのに。雨が降り出さないうちに洗濯物を取り込んでおいた方が良いかもしれない。花織はそんなことを考えて外に出る。雨の匂いはまだしないけれど、いつ振り出してもおかしくないような天気だ。
花織が洗濯籠を手に、外へと出る。洗濯物を取り込んでいるさなか、ぼうっと左腕に嵌めた腕輪が光を帯びたような気がした。
「えっ……?」
花織は驚いて洗濯物を取り込む手を止める。左手首に嵌めた腕輪をじっと見つめた。外してみようと力を籠めるも、やはり外れはしない。……気のせい、だったのだろうか。
「おったおった!花織!!」
花織が腕輪を見つめていると背後から勢いよく名を呼ばれた。振り返るとリカがこちらに向かって駆けてきている。花織はリカを見て首を傾げる。何やら慌てているようだが、何かあったのだろうか。
「どうしたの、リカちゃん」
「どうしたの、やないで!イケメンが一杯きとるんや!アンタもこんなところで一人でおらんと、はよこっちおいで」
グイ、とリカが花織の腕を引っ張る。訳が分からなくてリカに歩きながら事情を聞いてみるとどうやらAブロックを共に戦ったチームの代表が日本代表にエールを送りに来たのらしい。イギリスのエドガー・バルチナス。アルゼンチンのテレス・トルーエ。アメリカのマーク・クルーガーとディラン・キース。そして決勝トーナメントに進出したイタリアのフィディオ・アルデナ。
そしてせっかくこれだけのメンバーが集まったのだからと今から紅白戦を行うのだそうだ。彼らをチームに混ぜ、適当にくじ引きでチームを分け、もうすでに試合を介しようとしているらしい。確かにそんなドリームマッチは見なければ損かもしれないと花織は思う。
「たまには風丸以外の男もちゃんと見た方がええで、花織」
「別にそれは……、遠慮するけど」
リカがびしっと言った言葉に花織は苦笑して首を振る。他の男性もとても魅力には溢れると思うけれども、彼女には風丸以上の男性はいない。それはもう、随分前から彼女の中で分かり切っていることだ。