• テキストサイズ

諸恋

第11章 麗しの花嫁




秋が腕輪を見て言う。中々に腕輪の評判は良くないようだ。綺麗なのに、と花織は紫の腕輪を見てそんなことを思う。そして自分の腕で輝く腕輪を見つめた。うん、何度見ても綺麗だと思う。

「私はこれ、カッコいいと思うけどなあ」

秋の後ろから春奈が歩み出て塔子の手から腕輪を受け取った。そして腕に嵌めてみる。きらりと一瞬腕輪が光った。それをみて春奈は微笑み、離れた場所にいた冬花に声を掛けた。

「ね!冬花さん、着けてみます!?」
「え、私は……」

冬花の傍に歩み寄る春奈に、冬花は遠慮がちに声を上げる。だが春奈は冬花の元へ辿り着く前に足を止めた。戸惑ったように春奈があれ、と声を上げる。

「どうしたんですか?」
「取れないんです」

ざわっと皆がざわめく。花織ももしやと思い自分の腕輪に触れ、腕輪を外そうとしてみる。だが腕輪は腕に固定されてしまったかのようにぴったりと嵌ってびくともしない。

「花織、取れるか?」

風丸が心配そうに横から花織に尋ねる。花織は不安げに風丸を見上げて首を振った。風丸がえっ、と声を上げて花織の手に触れる。

「取れない、みたい……」
「花織、ちょっと手え貸してみい」

花織が腕輪を嵌めた腕を差し出せば、リカが花織の腕を取って腕輪を引っ張る。だがやはり腕輪はびくともしない。

「何やの、取れへんやん!!あのおっさん、とっ捕まえて文句言うたる!!」
「何が伝承の鍵だよ、とんだ不良品じゃん!」

リカと塔子が口々に文句を言った。そんな彼女たちの言葉に何かをひらめき、飛び出したのは円堂たちに大介さんの最後のノートを届けに合宿所へと来ていた夏未だった。

「ちょっと待って、今なんて言ったの?」
「え……、だから不良品って」

塔子が直前の言葉を繰り返す。夏未は真剣な顔をして強く言葉を放った。

「じゃなくて何とかの鍵って」
「伝承の鍵、天と地の王がどうのこうのって言ってた」

塔子が店番の老人が言っていた言葉を思い返す。伝承の鍵、天と地の王の元へ導いてくれる。たしかそんなことを言っていた。夏未はその塔子の言葉を聞いて深く考え込むような表情をした。

「もしかしてそれはライオコット島に伝わる魔王伝説と関わりがあるのかも……」
/ 366ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp