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諸恋

第10章 彼女の苦悩





その日の夜、マネージャーの仕事が終わってから花織は自室にひとりこもっていた。日課の筋トレもストレッチも何もする気になれなくて一人ベッドで膝を抱えている。

今日、自分が益々嫌になった。たった一瞬で嫉妬心を増幅させてウィンディにはっきりとした態度をとることもできなかった。それどころか、マネージャー業務だって滞らせてチームを巻き込んで迷惑を掛けてしまった。

ちらりと机の上に放置された、編みかけのミサンガに目を向ける。青・赤・白で編まれたトリコロールカラーのミサンガ。まだ全然始めたばかりで止まってしまっているそれ。

あの日考えた、風丸へのプレゼント。

何にしようかを考えて、自分の気持ちを込められるものに決めた。一列一列に、自分の時間を使って花織は丁寧に、風丸の勝利と活躍だけを願ってその気持ち一色だけにしてミサンガを編んでいた。純粋な気持ちしか編み込みたくなかったから、少しでも気が乗らなければ決してそれには触れない。形がほんの少しでも崩れればまたそこまで戻って編みなおす。

……でもこんな調子じゃ、FFIが終わるまで編み終わらない。

花織は自分の膝に顔を埋める。ここの所、ずっとこんな調子だからいけない。走ることを禁じられているためストレスの捌け口がない、というのも原因だろうが知らないところで確実に進行している冬花と風丸の関係に花織は気持ちを揺さぶられている。

自分で考えてみても、嫉妬ばかりで嫌な女。限りない自己嫌悪で気持ちが悪いくらいだ。

花織は深くため息をつく。ダメだ、このまま部屋に閉じこもっていても気が滅入るだけだ。ベランダに出て外の風に少し当たってみよう。

花織は思い立って立ち上がる。作りかけのミサンガをノートの下に隠して彼女は部屋を出た。
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