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諸恋

第2章 選ばれた精鋭




「花織」

風丸の手が花織を引き留めた。そしてじっと花織のことを見つめる。優しい黒の瞳。その中にはいつも曲がらない信念がある。他人を支える優しい思いやりがある。風丸のサッカーは花織とともにあった。だからこれからも花織と共に在り続けたい。

「俺は、お前にはいつも俺を支えてほしい。誰よりも近くで」
「だったら猶更……」

マネージャーとしてではなく、一ファンとして応援した方がいいだろう。花織が悩む点のもう一つは風丸が理由だ。風丸の存在は花織にとってどうやったって特別だ。他の選手と同列には扱えない。だが風丸は引かなかった。花織、と彼女の名前を呼び真摯に花織を見つめている。

「……お前は俺の彼女だけど、同時に今まで一緒に戦ってきた仲間だ」
「一郎太くん……」

どきん、と胸が大きく高鳴る。前向きな瞳。かつては一時期光を失った彼が、こうしてサッカーを楽しんでくれる。とても大切で、大好きな人。この人のために何かをしたい。自分ができるすべてをもって。

「俺は絶対に代表になる。そしてお前が信じてくれる俺のスピードで世界一を目指す」

花織は目を細める。私にできることは何だろう。マネージャーとして自分の持てる力をすべて使って、彼らの勝利に貢献することではないだろうか。それが何よりも彼のためになるかもしれない。

風丸がそっと花織の髪を撫でる。そっと顔を寄せて額を合わせた。

「だから一緒に戦おうぜ。世界一になるために」
「……うん」

きっとまだまだ力不足で、頼りないだろうけれど。それでも彼のために頑張りたい。ようやく花織はそう思えた。マネージャーとして日本代表を支える決心も。

「……選考試合頑張ってね。応援してる」

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